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電凸 多数の電話による「攻撃」

こちら特報部電凸  多数の電話による「攻撃」/26面

 愛知県で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後2019」が近く再開される見通しだ。抗議や脅迫で中止に追い込まれ、今も賛否さまざまな意見が渦巻いている。心配されるのが「電凸(でんとつ)」と呼ばれる多数の電話による「攻撃」。関係者はどう対応するのか。 (稲垣太郎)

「不自由展」再開へどう対応する?
 「あいちトリエンナーレに関するご意見、ご質問は『1』を、それ以外の県政に関するお問い合わせは『2』を押してください」。愛知県庁の代表電話に電話すると、音声ガイダンスが流れる。
 「1」を選ぶと「発信者の電話番号がすべて記録され、会話内容が録音される」と説明され、県の職員が対応するコールセンターにつながる。通話時間10分で自動的に電話が切れる。
 こんな対応をしているのは、もちろん表現の不自由展を巡って「電凸」が相次いだからだ。
 電凸は開幕前日の7月31日に始まり、初日の8月1日には電話200件、メールやファックスも計500件を超えた。午後にはトリエンナーレ実行委員会の電話がパンク。翌2日に専用のコールセンターを開設。9月17日からは、この音声案内も導入した。
 「録音するというガイダンスが流れ、トーンが和らいだ電話が多くなったような気はする」
 コールセンターでこれまで約120件の電話を受けてきたという男性職員は、その効果を説明する。対応の負担は少し軽くなった。通話時間が10分と短くなり、職員は「より多くの意見を聞けるように件数は増加した」と語る。
 「ガソリン携行缶を持ってお邪魔する」というファックスが来て展示を中止してからも電凸はおさまらない。再開でさらに増える恐れすらある。有識者でつくる「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」は、不自由展の再開に当たって、脅迫や電凸の回避策を十分に講じるよう求めている。
 しかし、決定的な対策はない。県の担当者は音声ガイダンスに加え、「会場の警備を強化する」。再び業務に支障がでるようなことになれば、その時にさらに対策を検討する構えだ。
 「新しいタイプのテロ」。検証委員会の席上で、脅迫と電凸をこう批判する声があった。ただ、行政の施策に反対の意思を示したり、抗議したりすることは、国民の権利。単に数が多いだけで非難されるものではないはずだ。まっとうな抗議と新しいテロの電凸。どこで線を引くべきなのか。
 <略>