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辺野古で県敗訴 地方自治の理念歪める

<社説>辺野古で県敗訴 地方自治の理念歪める/5面

 沖縄県辺野古新基地建設阻止のため国を相手に起こした訴訟で、県が敗訴した。法治の規範であるべき国が、法の恣意(しい)的運用で地方自治を封じ込める-。そんな手法を認めた判決は納得し難い。
 福岡高裁那覇支部が23日、判決を言い渡した裁判は「国の関与取り消し訴訟」と呼ばれる。
 新基地建設を巡り、県は昨年8月、埋め立て承認を撤回。防衛省沖縄防衛局は行政不服審査法(行審法)に基づき、埋め立てを所管する国土交通相に審査請求し国交相は4月、撤回を無効にする裁決をした。これを根拠に防衛局は埋め立て工事を進めている。
 県の主張は主に(1)行審法は国民(私人)の権利救済を目的としており防衛局は審査請求できない(2)防衛局と同じ内閣の一員である国交相が申し立てを審査するのは公正さを欠く-の2点。国の手続きの是非のみを争点に違法な請求に基づく裁決を取り消せと訴えた。
 高裁判決は、国の言い分を全面的に認め、県の請求を却下した。
 埋め立ては民間業者も行う事業で、県もそれと同様に許認可を判断したのだから防衛局にも民間人と同じ権利がある、国交相の権限乱用もなかった、と認定した。
 防衛局が私人とはどう考えてもおかしい。海上保安庁が立ち入りを規制する海域で基地を建設するのは、国の専権事項である防衛のため。行審法はこうした「固有の資格」を持つ国の機関は審査請求ができないと定めている。国交相の裁決も「選手とアンパイアが同じ立場」という玉城デニー知事の主張の方に利がある。
 翁長前県政時代からの県と国との訴訟は8件に上るが、国の裁決に関して判決が出たのは初めて。
 多くの行政法学者が「法治国家に悖(もと)る」と批判した強引な法の運用で自治体の決定を覆すことが許されるなら、憲法がうたう地方自治の理念は大きく歪(ゆが)む。三権分立の観点からも司法の中立的判断が期待されたが、県の主張は退けられた。県は上告する方針だ。<略>