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<社説>「身の丈」発言 制度の欠陥認め 見直せ

 <社説>「身の丈」発言 制度の欠陥認め 見直せ/5面

 撤回ですまされる話ではない。「身の丈に合わせて頑張って」という萩生田光一文部科学相の発言は、英語民間試験では公平性が担保できないことを自ら示している。制度を見直すべきではないか。
 大臣はもちろんご存じだとは思うが、そもそもの話から書く。教育の機会均等は憲法14条の法の下の平等と、憲法26条によって保障されている。
 これを具現化し1947年にできた教育基本法は「人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」とうたう。憲法14条にはない「経済的地位」が追加された。貧富で子どもの未来が左右されてはならないという決意の表れだろう。2006年の改正後もこの部分は変わらない。
 大学入学共通テストで導入される英語民間試験は機会均等の原則を損なう恐れがある。6団体7種類の試験は都市部での開催が中心で、受験料が2万円を超える試験もある。地方の受験生は交通費や、場合によっては宿泊費もかかる。共通テストで成績が使われるのは3年生で受ける2回だが、試験に慣れるためには同種の試験を繰り返し受けた方が有利だ。
 萩生田文科相は自らの発言を撤回した29日の会見でも「制度としては平等性が担保される」と話す。しかし全国高等学校長協会が延期を求めるなどの異例の事態を見れば、教育現場がそう感じていないことは明らかだ。
 すでに経済格差や地域格差が以前より高い壁となっている現実がある。08年のリーマン・ショック以降、首都圏の大学に通う地方出身者の割合は減少している。地方の受験生が挑戦しやすいよう制度を改革する大学もある。多様性が生み出す活発な議論が、イノベーションなどの新たな価値を生み出す効果を重視しているからだろう。
 共通テストの民間試験も4年制大学の3割が使わず、出願資格とした大学でも別の手段で英語力を証明する余地を残したところもある。格差拡大への懸念が解消していないことの表れだ。
 <略>