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本音のコラム 「恐怖の大魔王」 北丸雄二

本音のコラム  「恐怖の大魔王」  北丸雄二/25面
 かつて世界は、北朝鮮は何をするかわからないからと軽水炉を提供したり食料や重油を与えたり懸命になだめすかしてチキンゲームに対処してきました。それが今は、何をするかわからないのはすっかりトランプのアメリカになった印象です。
 この人相手にはこちらが自制しなきゃ自国ばかりか世界が破滅する。それでイランは軌道計算しやすい弾道ミサイルを使い、イラクの米軍基地の、宿舎でも司令部でもない場所に着弾させました。しかもザリフ外相がご丁寧に「イランは国連憲章51条に基づく自衛として相応な手段を取り、それを終了した」とツイートした。「我々は(戦闘の)拡大も戦争も望まない」と。つまり、これで「終わり」だ、と。
 攻撃しなければイラン国内の反米感情を抑えられない。けれどトランプ相手にマジに反撃したら第3次世界大戦はすぐそこにある。彼は今や逆説的に、金正恩よりも恐れられる当代随一の戦争抑止力になりました。
 ではトランプ再選でいい? いやいや、この人は反対されるのが嫌なだけ。次に何が来るか長期志向は大の苦手。それを咎(とが)めた側近は悉(ことごと)くクビで追従人間の進言だけに甘い。そんな危うい均衡があと5年も持つとは到底思えません。ソレイマニ殺害が再選のためでも弾劾裁判の目眩(めくらま)しのためでもなかったら、そっちの方がよっぽど恐怖の大王です。 (きたまる・ゆうじ/ジャーナリスト)