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完全自習の無責任 一斉休校要請で国の対応

完全自習の無責任 一斉休校要請で国の対応 編集局南端日誌/23

 テーブルの上にどっさりと置かれたプリントの山を前に、小学4年生の息子がため息をついた。「別に勉強したくないわけじゃないけど、これを自分でやっといてね、っていうならそもそも学校いらなくない?」
 息子の小学校は4日から休校となった。渡されたのが冒頭のプリント。先生にどう指示されたか聞くと、「教科書を見ながら問題を解いて、分からなかったらインターネットでも見て補足してね」と言われたそうだ。要するに完全自習。しかも、宿題ではないので答え合わせもしない。
 おそらく全国各地でこのような事態が発生しているのだろうが、素直に言って、非常に無責任な子どもへの丸投げだと思う。文部科学省は何を考えているのか。そう思って同省のホームページを調べると、2月28日付で都道府県市町村の教育委員会向けに、Q&Aを公開していた。
 「休校によって学習に遅れが生じることが予想される」という問いに対しては、「可能な限り、家庭学習を適切に課すなど配慮いただきたい」とした上で、別の資料に示すような工夫をせよという。
 その別の資料を見ると、国語なら「教科書を再読して感想文を書く」、算数なら「教科書の復習問題を解いたりする」といった具合。復習ばかりである。3月の間にやるはずだった未修の授業内容をどう学習させるかには、触れていない。
 では、この3週間ほどの未修分をどうするつもりか。まっとうに学習させるなら、やはり3週間分を新学年で補わなければなるまい。というわけで、子どもたちの間では、早くも「今年の夏休みはなくなる説」という悲観的な観測も浮上しているらしい。
 何しろ、安倍晋三首相の腹心といわれる萩生田光一文科相でさえ、一斉休校を知ったのは安倍首相が新型コロナウイルス感染症対策本部で発表した当日の27日だったというから、文科省が混乱し、各市町村教育委員会、さらに学校現場がドタバタするのも無理はない。とにかくプリントやっとけ、とう対応も仕方ないのかもしれない。
 ともあれ、備えを十分にしないままどうにもならない事態を招き、揚げ句、非常時だ、国難だと、一番責任のない子どもに丸投げしてきた「偉い人たち」の姿は、子どもたちの心に深く刻まれたことだろう。せめて反面教師にしてくれればいいのだけれど。 (特報部デスク・大村歩)